株式会社ダナフォーム


MGCクローン:技術情報

クローン出荷の際のSource BioScienceにおける試験では、phageコンタミネーションは確認されておりません。 ただし、phageコンタミネーションが無いことを100%保証するものではありませんので、クローンの取り扱いには十分な注意をお願い致します。

出荷と保存

MGC個別クローン(slant tube)

クローンはスラント上での大腸菌培養物として、常温でお送りしています。お受け取り後は冷凍せず、4℃で保存して下さい。 受け取られましたら受け取られましたらできる限り早く同じ成分の培地に植菌して30℃で24時間培養し、シングルコロニーを回収してください。 10個以上のシングルコロニーそれぞれを、同じ抗生物質と8%グリセロールを含むLB液体培地にて培養した後、-70℃で保存してください。 こうして冷凍保存したクローンはプラスミド精製時に、再び培養することができます。


シングルコロニーを培養することはライブラリーを複製するのと同様、コンタミネーションやクロスコンタミネーション、オリジナルクローンの変異などが起きた場合に備えるために必要です。 シングルコロニーを多く培養しておけば、問題が起きた時に本来のクローンを手に入れられる可能性が高くなります。 この方法を使えばコンタミネーションを起こしているクローンから、本来のクローンを単離することもできます。


抗生物質はベクターの種類により異なります。どの抗生物質が使われているかはslant tubeの蓋の色とclone name※で判別できます。


※clone nameはSource BioScienceが独自に割り振っているIDです。IMAGE IDでもMGC IDでもありません。クローンIDはチューブに記入されています。



clone nameの頭文字がAT, AV, BP, CJ[例:3872097 (AT6-H10)、3595205 (AV16-F8)]
Ampicillin 50μg/ml
clone nameの頭文字がAU, AW, BQ[例:2819730 (AU4-C2)]
chloramphenicol 27μg/ml
clone nameの頭文字がCL, ZM[例:6758950(ZM1-E5)]
kanamycin 30μg/ml



蓋の色 抗生物質
Red Ampicillin
Yellow Kanamycin
Green Carbenicillin
Blue Chloramphenicol
Clear Spectinomycin

MGC プレートセット(plate)

クローンは8%グリセロールを含むLB液体培地にレプリカされています。 プレートはドライアイス詰めで出荷しておりますので、お受け取り後は直ちに-70℃で保存してください。 このプレートからさらにレプリカを行う場合は同培地を用いて、37℃で一晩培養して下さい。 冷凍保存したクローンを培養して、プラスミド調製やPCR増幅を行うことが出来ます。


どの抗生物質が使われているかはプレートのIDで判別できます。


IRAT(Human), IRAV(Mouse), IRBP(Rat), IRCJ(Cow)
Ampicillin 50μg/ml
IRAU (Human), IRAW (Mouse), IRBQ(Rat)
chloramphenicol 27μg/ml
IRCM (Human), IRCL (Mouse)
kanamycin 30μg/ml

推奨しているDNA単離、精製方法

プラスミドDNA mini-prepの準備

通常のmini-prep法が適しています。Source BioScience社では下記の方法で行われています。


  • 適切な抗生物質を含んだLB寒天培地の上にクローンを蒔き、一晩37℃(amp)または30℃(CM or KM)で培養する。
  • LB培地5mlを滅菌済みの50mlチューブに分注し、適切な抗生物質を加える。その培地に単独のシングルコロニーを植菌し、一晩37℃(amp)または30℃(CM or KM)振とう培養する(170rpm)。
  • [グリセロールストックを作製する場合は1.5mlマイクロチューブに140?lずつ分注し、40?lの80%グリセロールを加えて混合し、冷凍保存する]
  • 2mlの培養液を2mlのマイクロチューブに移し、15分間3000rpmで遠心する。
  • 上澄みを捨て、200?lのGTE溶液を加えペレットを懸濁させる。その後RNase A stock (10mg/ml)を5?l加え、10分間室温に放置する。
  • 用事調製した0.2M NaOH/1% SDS溶液400?lを加え転倒撹拌した後、氷上に5分間放置する。
  • 300?lの3M K Acを加え、転倒撹拌した後、氷上に10分間放置する。
  • 10分間13000rpmで遠心し、上澄みを冷やしたエタノール1mlが入った1.5mlマイクロチューブに移す。その後、ボルテックスミキサーで軽く撹拌し、氷上に30分間放置する。
  • 10分間13000rpmで遠心し、エタノールを注意深く取り除く(吸引法を用いるのが望ましい)。
  • 冷やしたエタノールを200?l加え、ボルテックスミキサーで軽く撹拌した後、10分間13000rpmで遠心する。その後9.のようにエタノールを注意深く取り除く。
  • ペレットを乾燥させた後、50?lのTEを加え、一晩4℃で保存する。

溶液

10ml GTE:
0.5ml 20% glucose
0.25ml 1M Tris/HCl pH7.5
0.2ml 0.5M EDTA pH8.0
9.05ml 滅菌水
100ml 0.2M NaOH/1% SDS:
0.8 g NaOH
5ml 20% SDS
95ml 滅菌水

プラスミドDNAのPEG精製(シークエンス解析の前に行うことをお勧めします)

  • プラスミドDNA溶液に等量の20%PEG/2.5M NaCl溶液を加え、室温に5から10分放置した後、10から15分間13000rpmで遠心する。
  • 上澄みを取り除き、ペレットを70%エタノールで洗う。ペレットを乾燥させた後、20?lの滅菌水に溶解させる。
  • DNAが回収できているかを確認するため、5?l分注し、2?lのローディングバッファーを加えてから、適切なDNAマーカーを用いて、1.5%TBEアガロースゲルで電気泳動する。
  • シークエンス準備完了

PCR精製方法

適切なプライマーを使いPCRを行うことで、インサートDNAを増幅させることができます。 PCR産物はシークエンス解析を行う前に、スピンカラムかsAP/exo1法(shrimp alkaline phosphatase/exonuclease1)により精製してください。

参考文献

  • Werle. E, Schneider. C, Renner. M, Volker.M and Fiehn. W. (1994) Convenient single-step, one tube purification of PCR products for direct sequencing. Nucl. Acids Res. 22: 4354-4355.
  • Hanke. M and Wink. M. (1994) Direct DNA sequencing of PCR-amplified vector inserts following enzymatic degradation of primer and dNTPs. BioTechniques 17: 858-860.

I.M.A.G.E.ベクター情報一覧

同一プレートに含まれるクローンは全て同じベクターが使われています。



各ベクターの詳細についてはI.M.A.G.E. ベクター情報一覧をご覧下さい。

MGC情報リンク一覧

参考文献

  • Strausberg RL et al.: The Mammalian Gene Collection. Science (1999) 286: 455-457
  • MGC (Mammalian Gene Collection) Program Team: Generation and Initial Analysis of more than 15000 Full-Length Human and Mouse cDNA sequences. PNAS (2002) 99(26): 16899-16903.