Eprobe® PCR用試薬 : 技術情報
□Eprobe® PCR法の技術概要
Eprobe®は、ダナフォームが理化学研究所(理研)と共同開発した、励起子相互作用を持つ人工核酸を利用する蛍光プローブです。Eprobe®は、チミン塩基に蛍光色素が2つ結合した構造をもちます。Eprobe®がターゲットのDNA配列と結合し2本鎖を形成すると、2つの色素が分かれて、色素間の励起子相互作用が解除され蛍光を発します。リアルタイムPCRを行う際に十分な量のEprobe®を加えておくと、プライマーがターゲット配列にアニールするステップにおいてEprobe®も結合します。このとき発する蛍光を測定することで、目的とするDNA配列のみを定量することができます。
この技術は、塩基変異検出にも応用することができます。Eprobe® PCR後の融解曲線解析において野生型の塩基配列に完全一致で結合したEprobe®とミスマッチをもつ変異型の塩基配列に結合したEprobe®では、融解温度(Tm)に差が生じることになります。この差を解析することで変異型の有無を調べることが可能になります。
□Eprobe® PCR法の特徴
- □目的となる核酸に特異的にハイブリダイズすることで発光するため、目的の配列を高いシグナル/ノイズ比で検出します。
- □リアルタイムPCR検出、融解曲線解析が1本のプローブで行えます。
□Eprobe® PCR法の主なアプリケーション
- □細菌やウイルスなど感染症の高感度検出。
- □遺伝子発現の定量。
- □SNP検出。
- □がんなどの疾患原因遺伝子の微量変異検出。
Eprobe® PCR法については、Eprobe®/Eprimer™の技術情報もご参照ください。
□使用方法
□E-Taq 2xPCR Mixの一般的な使用方法
- □ホットスタートPCR用酵素ですので、Taqポリメラーゼの活性化のためにサイクルの前に98℃で5〜10秒、もしくは94℃で20〜30秒の活性化ステップを行ってください。
- □長時間の活性化は酵素にダメージが加わりますので、上記条件にて活性化してください。
- □72℃での伸長速度:1 min/Kb。
- □使用するテンプレートは精製したものを推奨します。
- □テンプレート使用量は500 ng/PCR以下を推奨します。
- □典型的な反応組成
- E-Taq 2xPCR Mix 10μL - Template <500 ng - Primer1 0.2-1.0μM - Primer2 0.2-1.0μM - Sterilized distilled water to 20μL
□E-Taq DNA polymeraseの一般的な使用方法
- □ホットスタートPCR用酵素ですので、Taqポリメラーゼの活性化のためにサイクルの前に98℃で5〜10秒、もしくは94℃で20〜30秒の活性化ステップを行ってください。
- □長時間の活性化は酵素にダメージが加わりますので、上記条件にて活性化してください。
- □72℃での伸長速度:1 min/Kb。
- □使用するテンプレートは精製したものを推奨します。
- □テンプレート使用量は500 ng/PCR以下を推奨します。
- □典型的な反応組成
- 5U/μL E-Taq DNA polymerase 0.1 μL - E-Taq buffer (10x) 2 μL - 10mM dNTP 0.4 μL - Template <500 ng - Primer1 0.2-1.0 μM - Primer2 0.2-1.0 μM - Sterilized distilled water to 20 μL
□Eprobe® PCR法におけるTm値の計算
Eprobe®/Eprimer™は、チアゾールオレンジを導入した際にTm値が上昇する効果があります。 Eprobe®/Eprimer™のTm値の計算は、以下のWebサイトにてオリゴ配列中の標識塩基を「Z」と表記することで計算できます。
*上記サイトは、理化学研究所より発表された論文成果(参考文献2)に基づくものです。
□参考文献
- J. Atsumi, et al, Eprobe-mediated screening system for somatic mutations in the KRAS locus, Oncology Reports, 33, 2719-2727 (2015)
- T. Hanami, et al, Eprobe Mediated real-time PCR Monitoring and Melting Curve Analysis, Plos One, 8, e70942 (2013)
- Y. Kimura, et al, Effect of thiazole orange doubly labeled thymidine on DNA duplex formation, Biochemistry, 51, 6056-6067 (2012)